新河岸川、桜・山吹・ショカツサイが開花
新河岸川の左岸(川越市側)、養老橋から蓮光寺を経て第2新河岸橋まで、1.4kmに渡って川の土手上に桜並木が続く。同じ川沿いでも、都内の目黒川の桜並木に比べると、満開のピーク時でも信じられないくらい空いている。
先週木曜、気分転換に土手を散歩すると、一本だけ開花が始まっている桜の木があった。一番咲きだ。
ブログを読み返すと、2021年もほぼ同時期につぼみが膨らみ、ぽつぽつと早咲きが見られた。
いよいよ、春本番。散歩が楽しい季節。
このあたりの新河岸川は、左岸の川越市(古市場)側と右岸のふじみ野市(福岡)側で、植物相がずいぶんと異なる。
日当たりのよい左岸は桜並木と菜の花が中心。一方、右岸はクヌギやコナラの広葉樹の大木が茂っていて、その薄暗い足下で山吹やショカツサイが群生する。
山吹は『万葉集』で何度も詠まれ、古来、桜に負けず劣らず親しまれてきた春の花。川越市が推す郷土の英雄・太田道灌(市役所本庁舎前には彼の像が建つ)には、「七重八重 花咲けども 山吹の みの一つだに なきぞ悲しき」(兼明親王)にちなむ逸話があり、山吹は川越市の花となっている。
開放的な桜とは違った、しっとりとした山吹の花も捨てがたい魅力あり。川越市の住民としては春の山吹もしっかり愛でたいところ。
川の右岸は、遊歩道を挟んで山吹は陸側、ショカツサイは水辺側と微妙に棲み分けている。
ショカツサイ(諸葛菜)という名前は、三国志の諸葛亮が出陣した兵士の野菜不足を補うために、先々でこの種子を蒔き、収穫しながら進軍したという伝説から来ている。たくさんの名前を持つ植物で、オオアラセイトウ(大紫羅欄花)や、ムラサキハナナ(紫花菜)のほか、 葉の形が大根に似ているのでハナダイコン(花大根)とも呼ばれる。
ショカツサイは由来のとおり食用花。この時期、大量に群生しているので、三国志ファンとしては一度調理にチャレンジしてみたい。