サンセットパームラインをレンタサイクルで往復 – 伊豆大島旅行(5)

GWでレンタカーが満車。仕方なく自転車を借りる

2022年の伊豆大島旅行は、ゴールデンウィークの直前に突然思い立って出かけた。宿の予約は何とか取れたものの、レンタカーがまったくだめだった。島のレンタカー会社のほぼすべてに電話をしたが、どこも満車だった(ピークシーズンゆえ当然だ)。仕方なく、バスと自転車と徒歩で島を巡った。

島の東側の海岸は険しい断崖が続く一方、島の西側は飛行場があるだけに土地は比較的平坦になっている。東側は徒歩とバスで巡ったので、西側はレンタサイクルで走ることにした。

サンセットパームライン(伊豆大島)
平坦な西海岸を回るには自転車が便利

自転車は2台、元町港近くの「レンタサイクルらんぶる」で、シティサイクル(ママチャリ)を2時間借りた。ママチャリの料金は1時間500円、2時間800円、3時間1,000円、4時間1,300円だった。

元町港から野田浜まで、島の北西部の海岸線に沿って「サンセットパームライン」という観光道路が走る。観光サイトには初級者向けのサイクリングコースとして紹介されている。登山には自信があるが、自転車はここ何年の間、乗った覚えがない。中級者・上級者向けのコースも紹介されているが、「サンセットパームライン」のコースを選んだ。

サンセットパームライン(伊豆大島)
現役の学生だけに自転車には乗り慣れている息子

実際、毎日、自転車通学している息子と違って、普段自転車に乗らない私は、こぎ始めて10数分ほどハンドルを操るのに苦戦した。

借りた自転車が3段の変速機付きであることに気付かず、上りでもスピードを上げる息子の背中を追いかけながら「10代の若者とはこんなに体力が違うのか!」と慨嘆した。

20分以上走ってから、ようやく変速機の存在に気がついた。坂道を重い「1速ギア」で上がっていたのだ。やれやれ。

赤黒いスコリア丘「赤禿」

サンセットパームラインのサイクリングで、見どころが2つほどあった。

一つは「赤禿」(あかはげ)。

自転車を走らせていると、前方遠くに赤黒い岩が目に入った。そばに自転車を停めて近づいてみると、赤い軽石による巨大な固形物ように見える。これは火山の噴火で空中に飛び散った溶岩が急激に冷えて砂礫となったもので、学術的にはスコリアと呼ばれる。

赤禿(伊豆大島)
溶岩の赤い丘「赤禿」

スコリアが積もった地形を「スコリア丘」という。赤禿はスコリア丘だ。スコリアは、高温のうちに空気に触れて酸化することで赤さび色になる。そのため、このような風景になった。

赤い丘を切り通すように遊歩道が続いていた。

野田浜の「パディーズベル」を鳴らす

もう一つの見どころは、サンセットパームラインの北端にある「野田浜」。

野田浜には小さな海水浴場と公園がある。ここからの伊豆半島に沈む夕日は本当に美しかった。薄暮の富士山も見ることができた。

サンセットパームライン(伊豆大島)
うっすらと富士山の稜線が見える

野田浜の公園には「Buddy’s Bell(バディーズベル)」という鐘が設置されている。インスタ映えする場所として、ガイドブックや観光公式サイトに紹介されていた。

Buddy’s Bell

この鐘は「信頼の輪」をテーマとし、中央の火は「永遠」をイメージして造られました。
ダイビングでは、意気のあった信頼できるパートナーをバディと呼び、お互いに助け合い、喜びや辛さを共有します。
あなたの大切なバディへの想いをこの鐘の音にのせ、響かせてください。

せっかくなので伊豆半島を背景に鐘を撮ってみた。

サンセットパームライン(伊豆大島)
野田浜のバディーズベル

国内各地を旅していると、恋人の聖地という観光コンセプトによる「幸せの鐘」に出くわすことがある。「恋人同士が鐘を鳴らし、永遠の愛を誓う場」という趣旨を持ち、一人旅の旅行者には少々気恥ずかしい存在だ。

このバディーズベルもそのようなモニュメントだろうと思いこんでいた。ところが、設立趣旨を読んで驚いた。亡くなった2人のダイバーを祈念するものだったのだ。

Buddy’s Bell(信頼の鐘)設立趣意

 1999年10月15日、伊豆大島のダイバー金満雅剛(当時21歳)は伊豆下田沖神子元島近海で懐中撮影中、巨大な下方への潮流に飲み込まれた。バディを組んでいたNHK情報ネットワークのカメラマンと互いの安否を気遣いながら懸命の脱出を試みたが、遂に力尽き二人は帰らぬ人となった。
 この危機に際し、ダイバーとして最後までパートナーを信頼し、バディとしての使命を果たすために行動した彼の勇気と人柄を偲び、多くのダイビング仲間の支援を受け、この地にBuddy’s Bell(信頼の鐘)を設置し、大島町に寄贈することにした。
 彼が愛して止まなかったこの大島の海の安穏と、この地を訪れるすべての人々の幸せを願い、永遠にこの鐘の鳴り響かんことを。

2002年11月 父 金満俊一

夕暮れの穏やかな海を眺めつつ、息子と2人、鎮魂の想いをこめて鐘を鳴らした。

2022年春 伊豆大島旅行の記録
【1】早朝の元町港、源為朝の館跡と弘法浜を散歩
【2】三原山登山、活火山を実感
【3】泉津の切り通しと波治加麻神社を散歩
【4】大島公園海岸遊歩道を踏破
【5】サンセットパームラインをレンタサイクルで往復
【6】「地層大切断面」で地質への関心がムラムラ


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