北方謙三の金言「ソープに行け!」
1980年代に高校、大学生活をすごした私にとって、一番身近な雑誌は『ホットドックプレス』(講談社)でした。当時のホットドックプレスを、一言でいうと「男子のための女子攻略マニュアル」です。デートの時には何を着ていけばいいか、待ち合わせはどこかいいか、キメのホテルは‥‥等の情報が、詳しいシミュレーションにより解説されていました。
最近、ホットドックプレスはリニューアルして「HDP」というロゴになり、なんだか淡白なファッション雑誌になってしまいましたが、全盛期は青少年男子のムンムンとしたリピドーに包まれ、圧倒的な力を持っていました。最近、私が手がけた『東京夜景2003』も「マニュアル雑誌」の影響が色濃く出ていると思います。
さて、当時のホットドックプレスは、北方謙三氏の長期連載「試みの地平線」を抜きに語ることはできません。「試みの地平線」は、氏が毎号、青少年男子の青い悩みに激しく叱咤し、熱く咆哮する、白黒ページ台の人生相談ページです。
ここで生まれた名言が「ソープに行け!」です。毎号のように結論が「ソープに行け!」であった時期がありましたが、氏のサブリミナルな叫びは、80年代の青少年に与えた影響は計り知れないものを感じます。もちろん、何人の青少年が実際にソープに出かけたかはわかりませんが(笑)。