携帯ホームページサービスの寓話
無料のホームページサービスやメールサービスで運用上困るのは、登録はしたものの実際にサービスを利用しなくなった会員、登録したことさえ忘れてしまった会員が増加し続けることです。会員数が数万人を超えると、たとえテキストメールであっても、塵も積もれば山となるため、相応のストレージの準備が必要です。エキサイトメールやhotmailでは、一定期間サインインしなかったアカウントを無効にしたり、メールボックスを削除することで対処しています。
さて、先日、携帯ホームページサービスの提携先、ティー・オー・エスのスタッフとストレージの課題について意見交換をしたのですが、その際、心温まるお話をお聞きしました。
ほとんどのインターネットサービスは、運営者とユーザーの一対一の関係を前提にしており、サービス規約で明記しています。従ってユーザーが亡くなった場合、運営者はユーザーのアカウントやファイルを削除する権利を有するというのが、一般的な考え方だと思います。
ところが、ティー・オー・エスの運営する「魔法のiランド」では、一切、過去ファイルの削除を行わないそうです。下記のようなエピソードが理由とのこと。
かつて癌で入院生活をしていた10代の女の子が、ベッドの上で携帯ホームページを作ることを楽しみにしていたそうです。その女の子は残念ながら亡くなられたのですが、闘病中に作っていた携帯ホームページは残ったとか。しばらくして、女の子の母親が、ティー・オー・エスをお礼方々訪問されたそうですが、以後、社長が「魔法のiランド」はアーカイブは一切削除しない方針を決めたとのこと。
2003年、日記サービスやブログサービスが注目を集め始めた一年でした。インターネットがシルバー層にも浸透すると、自分史やパーソナルコミュニティが伸張する可能性があります。その際、サービス規約の見直しも必要だと思います。
【 お詫び 】(2004/1/7)
年末年始にこのエントリを掲載し、仕事始めのご挨拶も兼ねて、ティー・オー・エスのご担当者に照会したところ、事実関係に間違いがありました。打ち合わせ中にお聞きした話ゆえメモを取らず、間違った情報を掲載して申し訳ありません。
お亡くなりになったのはお母さんで、そのお子さん(10歳)を連れてお婆さんがティー・オー・エスを訪問されて、母親が闘病生活時に励まされたこと、今でも子供の形見として残されていることに感謝されたとのことです。