大学のeラーニングは良質の通信回線が生命線

通信の途切れで単位を落とすことも

 大学の通信教育(eラーニング)を受講するには、安定した通信回線が生命線だ。

 長時間の講義動画が途切れたり、Zoomでのリモート会議が途中で切断されたりすると、学習に集中することができない。サイズの大きな動画ファイルでの課題提出が求められることもあり、アップロードの速度や安定性も重要である。また、期末試験の受験中に回線が途切れると、単位を落とす可能性があるため、通信環境の整備は必須といえる。

 以下、通信教育に必要な自宅の通信環境について考えた。

回線種別は「光ファイバー」「ケーブルテレビ」が必須

 安定した通信回線を確保するためには、回線種別として「光ファイバー」と「ケーブルテレビ」が考えられる。モバイルルーターやスマートフォンのテザリングでの長時間の動画視聴は難しい。

光ファイバー

 光ファイバーは、一般的に通信速度が速く、安定性に優れている。大容量の通信を必要とする場合に適しており、特に動画視聴やリアルタイムのオンライン授業に向いている。

 日本における光ファイバーの網羅率(世帯カバー率)は、総務省の調査によると2022年度末には99.84%に達しており、ほぼ全国の世帯で光ファイバーを利用できる環境が整っている。そのため、通信環境の選択肢として光ファイバーを第一候補とするのが妥当といえよう。

ケーブルテレビ

 ケーブルテレビ回線を利用したインターネット接続も選択肢の一つだ。総務省の調査によると、日本のケーブルテレビの加入世帯数は2023年度末時点で約3,284万世帯となっている。光ファイバーと比較すると通信速度が劣る場合があるが、ケーブルテレビに加入している世帯では、セット割引で安く利用できる場合がある。

 ただ、最近では光ファイバーとセットで提供されることもあるため、ここでは光ファイバーを回線を前提に考えたい。

必要な回線速度は10Mbps

 長時間の講義動画視聴やZoomでの集団授業を快適に行うためには、適切な回線速度を確保する必要がある。以下が速度の目安だ。

  • 事前録画の講義動画の視聴(1080p高画質):5.0Mbps
  • Zoomによるリアルタイム授業:下り 3.8Mbps、上り 3.0Mbps
  • サイズの大きなファイルのダウンロード・アップロード:1.8Mbps

 少なくとも5Mbps以上の通信速度が必要で、安定した接続を確保するためには10Mbps以上を確保したい。

 自宅の回線速度はインターネット速度テストを利用して確認できる。

 速度が不足している場合は、契約プランの見直しやWi-Fi機器の交換を検討した方がよいだろう。

インターネット通信速度
この日のわが家の回線速度

光ファイバー回線はどこを選ぶか?

 光ファイバーを新たに契約する場合、必ず事業者の比較を行いたい。事業者は大きく分けて2つの種類がある。

  1. NTT東日本・西日本の「フレッツ光」を利用した事業者
  2. auひかり、NUROなどのNTT以外の事業者

 全国のカバー率で言えば、フレッツ光が最も広範囲をカバーしており、都市部を除くとフレッツ光しか利用できない地域も多い。

 また、以前は、NTTの光ファイバー「フレッツ光」とインターネット接続プロバイダを別々に契約することが一般的だったが、現在では「光コラボレーション」として、回線とプロバイダをセットで提供するプランが主流になっている。これにより、申し込みや手続きが一度で済むという利便性がある。

 一方、auひかりやNUROといったNTT以外の事業者のメリットとして、利用者数が少ないため、フレッツに比べて高速で利用できる場合がある。デメリットは、引っ越しの際、引っ越し先が利用可能エリアでない場合があることだ。選択にあたっては、中期的なライフスタイルを考慮すべきだろう。

プロバイダは価格の安さだけで選ばない

 光コラボレーションのサービスは、老舗から新興まで多くの事業者が提供している。ただ、事業者によって通信速度やサポートの質に大きな差が出るため、慎重な比較が必要だ。

 料金やサービス内容の比較は「価格.com」などの比較サイトが参考になる。ただ、私の実体験として、多少料金が高くても老舗のプロバイダを選ぶことをおすすめする。

 過去、格安プロバイダを利用した際、通信速度が極端に遅くなり、老舗プロバイダであるSo-netに乗り換えたところ、速度が大幅に改善したことがあった。また、光ファイバーの終端装置が故障した際、サポートデスクの対応も迅速で、翌日にはNTTから新しい終端装置が送られてきた。格安プロバイダではサポート対応が遅く、連絡がつながらないことも想定される。

 期末試験の時期に終端装置が故障し、1週間も自宅で高速常時接続できなくなると、単位を落とすリスクが高まる。大学のeラーニングの場合、高い利用料は「保険」と考え、通信品質と安定したサービスを提供するプロバイダを選ぶのが賢明だ。

まとめ

 大学のeラーニングを快適に受講するためには、安定したインターネット通信環境が不可欠だ。特に、光ファイバー回線は通信速度と安定性の面で優れており、第一候補である。また、プロバイダ選びも重要であり、料金だけでなく、通信の安定性やサポート対応を考慮したい。信頼できるプロバイダを選ぶことが、安心して学習を続けるための鍵といえる。