雑誌編集者の仕事で一番大切なこと
雑誌の編集者と話をすると、こんな台詞を時々耳にします。
「部数は今ひとつだけど、広告は堅調ですね」
これは、一見うまく行っているようで、かなり危ない状況だと思います。雑誌編集者の仕事は何より販売部数(印刷部数にあらず)を伸ばすことです。「広告が入っている」のは、販売部数が伸びないにも関わらず、広告スペースをがんばって売っている営業マンの手柄です。
若い編集スタッフ同士が、「今月の特集はよかった」「あのテーマが斬新だよね」と、主観的(好み)に雑誌を評価している光景を目にします。周囲のライターやデザイナー受けすることが、よい特集であるかのように考えている編集者がいることも確かです。
ただし、私はプロの雑誌編集者が問われるのは、読者数(=販売部数)を伸ばすこと。それも、ただやみくもに読者を増やすのではなく、ターゲットされた読者を増やすことだと思います。
雑誌編集者のもう一つの仕事は、“売れる広告媒体”を作ること。“売れる広告媒体”とは、年齢層、居住地域、年収等、広告主にとって良質な読者プロファイルを持っていることです。必ずしも、特集内容や仕上がりによって判断されるものではありません。これも、誤解している編集スタッフがいます。
「雑誌の媒体価値=良質な読者プロファイル(質)×ターゲティングされた読者数(量)」という式で示されると思います。
編集現場において、ユニークなテーマ、斬新な切り口の特集を作るのは当然です。絶対数としての販売部数が少なくても、広告主にとって優良な読者が相対的に多いために、広告が入るのも結構なこと。ただし、「ターゲティングされた読者の最大化」という目標を見失うと、その雑誌は中期的にみて必ず失敗すると思います。
ディスカッション
コメント一覧
激しく同感します! 媒体は「ターゲティングされた読者の最大化を目指す」という当たり前のことに対して、思った以上に意識が低いスタッフも。
読者がついてくれば、広告主様の広告露出も増える。数字が伸びれば、スタッフはうれしい。会社も儲かる。トライアングルハッピー目指して、別分野ではありますが、がんばりましょう!
ヒロコ様
インターネット媒体は、広告主から効果の指標を厳しく求められるだけに、編集する側も高い意識を持たざるをえないですね。私もがんばりたいと思います。