映画『ULTRAMAN(ウルトラマン)』の感想

映画『ULTRAMAN』

子供の頃から、特撮ヒーロー番組、特撮怪獣映画に目がないのです。映画『ゴジラ・ファイナル・ウォーズ』に続き、映画『ULTRAMAN』を観ました。生誕50周年イベントといった趣の『ゴジラ・ファイナル・ウォーズ』は今ひとつだったけど、『ULTRAMAN』はストーリーがしっかりとしていてなかなか楽しめました。

主人公は、航空自衛隊のF15戦闘機のパイロットで、幼稚園児の男の子を持つパパ。特撮ヒーローものは、「カッコいいお兄さんがに変身」というのが定番な設定。最近の仮面ライダーシリーズでは、イケメン路線がますます純化されていますが、「パパがウルトラマンに」という点が『ULTRAMAN』のポイントです。

この映画は、「いつか大きくなったらウルトラマンになりたい」と思う子供に投げかけたものではなく、30代のパパ、かつてウルトラマンに憧れた少年に投げかけたものです。『ゴジラ・ファイナル・ウォーズ』に比べると怪獣との格闘シーンは少なく、主人公と妻、子供、元職場(自衛隊)との関係性を描くことを重視していました。その分、子供が観るには退屈かもしれません。

もう一つの見どころは、自衛隊のサポート。実際に、F15戦闘機「イーグル」が百里基地の倉庫から出たり、滑走路を飛び立つシーンは、コンピュータグラフィックにはない迫力を感じました。主人公がバリバリの自衛官として活躍するのではなく、家庭と仕事の両立に悩みながら退官を選択するという設定も、リアリティーがありました。

ところで、日本でなぜ、特撮怪獣映画が独自の発展を遂げたかについて解説したコラムを読んだことがあります(残念ながら、コラムのタイトル等、忘れました)。ハリウッド映画でも、中国映画でも、必ずナショナリズムをかき立てる戦争映画のジャンルがあるのはご存知のとおり。ところが日本では、第二次大戦後、平和主義を掲げた憲法の下、そのジャンルが発展することができなかった。なので、「悪の侵略を跳ね返す」というテーマを、「怪獣の破壊を跳ね返す」というテーマに焼き直したのだ、云々というものです。

確かに、この『ULTRAMAN』においても、平成版『ガメラ』においても、自衛隊が積極的に関わっており、人員募集に苦戦する広報映画のような側面もなきにしもあらずでした。私はポジティブに捉えていますが。

あと、母親役の裕木奈江が地味めのいい味を出していました。


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