感想/H.バターフィールド『近代科学の歩み』
ときどき、無性に自然科学系の本を読みたくなります。宇宙の始まりとか、相対性理論の解説書とか。人文系だった私が、最初に自然科学に興味を持ったのがこの新書から。
実は学生時代にA型肝炎で一ヶ月ほど、入院したことがあります。せっかくだから古本屋の前に並べられていた1冊100円の岩波新著を、20冊ほど買い込み、病院に持ち込みました。その中にたまたま入っていたものです。
「近代科学の歩み」は、もともと1951年にイギリスで発行された科学史の解説書です。「ダンテの宇宙観」「コペルニクスと惑星」「ベーコンとその実験的方法」「パストゥールとバクテリア」といった科学史のトピックスを、1トピックス10数ページの読み物として、当時の一流の科学者がわかりやすく解説しています。
最期のトピックス「今日の科学」に、ベッドの上でとても感銘を受けたことを覚えています。ここでは、科学の発達と総力戦争について語られているのですが、この本が刊行された数年前にヨーロッパを第二次世界大戦があっただけあり、灰燼の中で考えたであろう科学者の言葉に、重いリアリティーを感じました。
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