庄内旅行- 月山山頂から八合目へトレッキング
昨夜は月山神社に参拝できなかったので、起床後、7時に山頂小屋を出て参拝。
月山神社は海抜1,984メートルの月山山頂にある。7月1日から9月15日まで、夏の2ヵ月半の期間だけ参拝できる神社だ。朝一番で境内は誰もいない。門をくぐって入り口の窓から声をかけると、雑誌を読んでいた神職の方が気づき、おもむろにお祓いをしてもらった。まぁ、テレビも携帯電話の電波受信状況が極めて不安定な山頂なので、まだまだ雑誌、新聞といった紙メディアが力を発揮できる。
月山山頂から下山開始
参拝を終えて、いよいよ月山を下山する。昨日と打って変わって雨はやみ、所々青空が見える。だが、雲の流れはとても速く、いつ天候が変動してもおかしくない。
山頂からしばらくは木道が整備されたなだらかな高原を下っていく。「モックラ坂」という山道で、昨日の石ころばかりの登山道とはえらい違いだ。
一時間ほど歩くと、目の前に山の頂きが現れた。1,826メートルのオモワシ山だ。登山家はそこに山があれば登りたくなるようだが、私の場合、今日は登りはコリゴリ。登山家には向いていないのだろう。
道の左手には「行者ヶ原」という緑の草原が広がっている。今日は視界が晴れ遠くまで見渡せる。トレッキングの醍醐味が味わえるひとときだった。
下はiPhoneのパノラマ昨日で撮影したもの。自然の規模感はどうしても写真で再現できないのが残念。
白装束の男たちがやってきた
山頂を出て1時間10分ほどで、9合目の仏生池が見えてきた。8月だが昨日の寒さのためだろうか、すでに池は凍っている。ふと足を停めると岩場に美しい緑色のバッタがいた。時間を忘れて、しばらくバッタとにらめっこしてしまった。東京では味わえない時間の流れを感じた。
9合目には仏生池小屋がある。山頂小屋に比べると、規模は小さいがしっかりとした作りの小屋で宿泊もできる。コーヒーを一杯注文。食堂においてあった、月山の高山植物の本を読んで20分ほど休憩した。
仏生池小屋を出たあたりから、白装束の行者の人たちが多数、登ってきた。あまりに人数が多いので、そのうちの一人に訊ねてみると、「秋の峰入り」という行事で、山駈等の厳しい荒行があり、これをクリアすると山伏名を付与されるそう。今年は159人が参加しているという。多くの白装束の男性が、山道を早足で登る姿は霊峰ならでは(そういえば、月山で“山ガール”はとんと見かけなかった)。
9合目の仏生池小屋からまた一時間ほど歩くと、視界の下方に壮大な草原が広がった。弥陀ヶ原だ。
湿原の美しい高山植物に心和む
弥陀ヶ原は月山八合目に広がる高層湿原。多くの沼沢があることから「いろは四十八沼」とも呼ばれている。
沼沢一つひとつに青空が鏡のように映えて、とても美しい。
道のそばにはさまざまな高山植物が。8月下旬はミヤマリンドウの花の季節で、紫色の可憐な花が所々に咲いていた。また沼沢には蓮が葉が浮かび、“リアル・モネ”の絵画のようだ。
広大な弥陀ヶ原は木道の遊歩道が整備されている。八合目付近まで降りると、バスでやってきた観光客もちらほら見かけるが、弥陀ヶ原の奥の方まで時間をかけて歩くと湿原を独り占めできる。
弥陀ヶ原の美しい自然を30分ほど満喫して、八合目の月山中之宮の御田原神社に向かった。山の天候は変わりやすい、先ほどまで青空が広がっていたのにポツポツと雨が降り出してきた。
月の山のお使いはウサギだった
月山中之宮の御田原神社には、巨大なウサギの石像「なでうさぎ」があった。そういえば、山頂の本宮の本殿前にも、狛犬ならぬ狛うさぎがいた。
月山神社は、天照大神の弟神、スサノオの兄、月読神(ツクヨミノミコト)を祀る。月読神は文字通り「月の神」で、ウサギはその“お使い”とされているようだ。なでうさぎは、立派なひげを持つ大ウサギだった。
山頂の月山神社を出発したのが朝8時30分。8合目の中之宮・御田原神社には昼12時10分に到着。昨日の雨中の厳しい岩登りとは打って変わった、のどかなトレッキングだった。
さて、午後は羽黒山へと向かう。
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