FEN 改め AFN「Eagle 810」について
田中康夫の小説『なんとなく、クリスタル』を初めて読んだのは、高校生の頃。冒頭、主人公がFENで目を覚ますシーンがあり、FENが聴けるというだけで、私は東京への憧れが募ったものです。
FEN(Far East Network=極東放送網)は、第二次世界大戦中に、極東で戦うアメリカ軍兵士に向けたラジオ放送がことの始まり。『なんとなく、クリスタル』の巻末の注釈を引用すると「英語がわからない人には、よいバックグランド・ミュージックになります。英語のジョークが理解できる人は、より一層楽しめます」。
現在、AFN(American Forces Metwork)に名称が変わっています。横田基地、三沢基地、岩国基地、佐世保基地、嘉手納基地にそれぞれ放送局あり、嘉手納基地にはFM局もあります。ただ、横田基地(810キロヘルツ/愛称「Eagle 810」)が出力50キロワットでもっともポピュラーです。
ところで、私は日本のFM番組のDJがしゃべる、“英語なまりの日本語”がどうしても好きになれません(NHK FMを除く)。1980年代、FM放送がまだNHKと民放1局(FM東京、FM大阪)しかなかった頃は、DJは普通の日本語をしゃべっていました。関西では、FM802が開局したころから、いろんなFM番組に“英語なまりの日本語”が増殖していったような気がします。
初めはノリがよくて、個性的であったそのしゃべり方も、今ではDJみんなが同じようにしゃべるので、かえって普通のしゃべり方をする人の方が個性的に聴こえるのは、私だけでしょうか。
“英語なまりの日本語”によるFM番組はどれも同じように聴こえるので、最近、クルマでの移動中は、もっぱらAFN「Eagle 810」を聴いています。アメリカンカントリーのカウントダウンとか、日本にない商品のCMが流れたりして、実に面白いですよ。