岩手旅行- 花巻市街の宮沢賢治の足跡を歩く

2023年4月15日

朝10時に大沢温泉をバスで出発。30分ほどでJR花巻駅に到着した。この日はお昼すぎ、花巻市内の宮沢賢治の足跡を散歩した。

まずは宮沢賢治、誕生の場所へ

小雨が降る中、最初に向かったのが「大正活版所」の跡。小説『銀河鉄道の夜』で主人公のジョバンニが働く活版所として描かれた場所。銀詩集『春と修羅』を印刷した場所でもあった。河鉄道ファンとしては必ず訪問したいと思っていた。現在はお菓子屋になっている。いわれを知らなければ、地方都市の街角以外の何物でもなかった。

ここよりも数百メートル先にある小さな印刷所の方が、「活版所」の趣があった。オンデマンド印刷が中心になった東京では、ついぞ見かけなくなった店構えだ。

次に訪問したのが、宮沢賢治が生まれた母方の実家。産湯となった井戸が残っている。ここは有名な観光地のようで、賢治ファンの中年数組が参観に訪れていて、観光協会のスタッフの解説も聞くことができた。

井戸のある屋形には、和傘、法被等、賢治が生きていた頃の商売道具が飾られていた。

母方のご一族は今でも健在で、今でも砂糖、塩、小麦粉等を扱う会社を営んでおられる。敷地内の蔵は今でも使用されていると。

隣は小さなオフィスがあり、スタッフが平日の業務をされていた。今を生きている一族がいることに、妙な感慨を覚えた。

なお、宮澤賢治の生家跡も訪ねたが、一般住宅になっていた。現在、彼と姪とご家族が暮らしているとのこと。

宮澤家自体が花巻では有名な家系で、今もご一族が健在であることがよくわかった。

雨の中、花巻城址を散歩

次に、盛岡藩の花巻郡代歴代の居城であった花巻城址へ。今でも城の面影が残るのは、鳥谷ケ崎公園の場所のみ。ただ、実際の城の面積は広く、市役所のあたりに大手門があった。ここには賢治の卒業した花城尋常小学校があった場所。『銀河鉄道の夜』の小学校のモデルだ。

そこから北西に5分ほど歩くと、現在の花巻小学校がある。さすが賢治の母校だけあって、校内には彼にちなんだ意匠が施されていた。

花巻小学校を北に抜けると、鳥谷ヶ崎公園に着く。ここがかつて花巻城の本丸があった場所。下は岩手県の公式サイト「いわての城・館」に掲載されている花巻城の歴史。

近世の新領主・南部信直は重臣である北秀愛(きたひでちか)に8,000石を与え、鳥谷ヶ崎に城代として入城させた。この時、秀愛がそれまでの「鳥谷ヶ崎」という名を「花巻」と改め、城下町の整備や城の改修に着手した。秀愛の死後は父・松斎信愛(しょうさいのぶちか)が事業を継承したが慶長18年(1613)死去した。藩主・南部利直は長子の政直に和賀・稗貫(ひえぬき)の地から2万石を与え花巻城主とし、仙台藩境の警備にあたらせた。政直の死後は嫡子がなく、寛永元年(1624)からは城代を置き、以後明治維新まで存続した。

安土桃山時代末期まで、鳥谷ヶ崎は稗貫氏の本拠地であった。稗貫氏は鎌倉時代、源頼朝に稗貫郡を与えられ入部、中世末期まで続いた豪族である。所領は現在の南部を除く花巻市に及び「稗貫五十三郷」といわれる。各郷に一族・家臣を置き、諸城を築いていた。当初は小瀬川館(あるいは瀬川館)を本拠としたが、郡内各地を転々として最終的に鳥谷ヶ崎に城を構えた。史料によると永享8年(1436)以降のことであると思われる。

天正18年(1590)稗貫広忠(ひえぬきひろただ)の代に、豊臣秀吉の小田原攻めに参戦しなかったことで所領を没収・居城追放となった。しかし、広忠は同じく所領を没収された弟・和賀義忠(わがよしただ)がかつての本拠・二子城を攻めるのに呼応して鳥谷ヶ崎奪還に立ち上がり、一時は成功したと伝えられている。その後広忠については伊達政宗を頼り、平泉周辺に、そののち旧臣矢沢三河守の所へ移ったと伝えられて
いる。

せっかくの芝生の公園なのに、雨に濡れて足元がびしょ濡れ。往時に想いを馳せるどころではなかった。

下は西御門。花巻城の中では、一番、城址を感じさせる建造物だった。

とにかく雨が降って、今ひとつ観光気分が盛りがらない。なので、どうしても淡白な旅日記になってしまう。

この後、北上川河畔のイギリス海岸へ向かった。


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