母校・関大一高の授業をもう一度
今日は、母校・関大一高の創立60周年記念イベントがあり、久しぶりに大阪・吹田まで出かけました。中学入学から大学卒業まで、10年間通った阪急電車。関大前駅で降りると年配の男性の群れが‥‥。え、これ、みんな元一高生? アラフォーの私で若手です。
実際、式典の会場に着くと、白髪&髪がうすい初老の男性ばかり。何だか、破綻した保険会社の債権者集会みたいだ‥‥と不安に感じていると、中学一年のときに同じクラスだったK君から声がかかり、おお、久しぶり!と、少しほっとしました。
同窓会の役員の方のご挨拶が終わり、まずは関大の学歌と高校・中学の校歌を斉唱。ところが、最近リニューアルしたホールなので、同窓会の方がオーディオの使い方に慣れず、なかなか伴奏が始まらない(こういう段取りがスムーズじゃないの、うちの高校らしくて好きだ)。結局、元応援団の男性が壇上にあがり、アカペラで歌うことに。で、今度は大学の学歌はみんな歌えたけど、中学・高校の校歌になると、ほぼ全員が忘れてしまいモゴモゴして歌えない! 結局、「いざ、いざ、いざ」というサビの部分だけ、かろうじてホールに響きました(関学や同志社と違って、こういうナショナリズムのいい加減さも結構好きだ)。
その後、豊島現校長の挨拶。私が高校生だった頃は、ペーペーの数学の先生でしたが、えらく貫禄が出ていて時代の変遷を感じました。
食堂で昼食のお弁当を食べた後、今回のメインイベント「青春授業」へ。昔、教えていただいた先生が教壇に立ち、二時限分、授業を受けられるというもの。私は、校長時代に男女共学化を実現したN先生の社会と、生徒会長をしていたとき、顧問だったF先生の生物の授業に出席。
卒業して以来、20数年ぶりの教室、窓からは大阪市内が一望。よくよく考えると、千里の高台にあったから、どこの窓からもすごく眺めがよかったな。
教室は90%が男子校時代のオヤジばかりだけど、4、5人、最近卒業した女子が混じって不思議な光景。ハローワークに社会見学に来た女子大生グループって感じでした。写真を撮りたかったけど、ケータイのレンズを向けるのは気が引けました‥‥エロオヤジと思われるのは嫌なので。
N先生の授業は、校長時代のぶっちゃけ話が面白かった。月に一度、学校法人の理事会に行くと、理事に囲まれて付属上がりの学生は勉強ができないと、毎回吊るし上げられたこと(スミマセン)。男女共学化を決断したときは、理事会からは「トイレを改造したり、女性の教員いれたり、どこにそんなカネがあるんじゃい」と言われ、卒業生から「バンカラが関大一高のウリやろ」と抗議を受け、周囲の女子校にはなかなか理解されなかったこと。その他、制服をブレザーに変えた理由とか、いま、明らかになる話ばかり。
昔、校長先生というと学校で一番偉い人と思っていたけど、実は子会社の社長だったんだ、ということが、しみじみとわかりました。そのくせ、勉強についてはぜんぜんハッパをかけることなく、我々付属生の「壁」となっていただき、本当にご苦労おかけしました。
生物のF先生は今年で退職。今日の授業の教材はサツマイモ。でんぷんの固まりであるサツマイモに熱を加えると、アミラーゼにより麦芽糖に分解される。では、どうすれば一番、おいしく焼き上がるか、というのがテーマ。摂氏92度で焼いたときに、一番糖分が多くなるのだけど、摂氏92度を維持するために断熱材を使い、実際の装置を用いて作ってみるというものでした。授業が進むにつれ、教室は焼き芋の香ばしい香りに包まれ、最後は先生自ら包丁をにぎって、生物の“プリント”に包んでみんなにふるまい、終了のチャイムが。
そういえば、先生の授業は、タラコの数を数えたり、ミミズの輪を観察したり、受験勉強のない付属校ならではの面白い授業だった。みーんな忘れてしまったけど。でも、今日は、「職人の授業」を見せてもらえました。