岩手旅行- 遠野の五百羅漢、幽玄なる林の中へ
続石を後にして次は五百羅漢へ。遠野の市街地方面へ距離7キロ。10分ちょっとで林の中にある五百羅漢への登り口に到着。
登り口には、クマへの注意を促す看板が立っていた。旅館や観光案内所でもクマに気をつけるように言われた。2013年に青森県の下北半島、2014年に山形県の出羽三山を旅したが、ここまで注意されることはそんなになかった。本当にクマが身近な存在なのだろう。
登り口から数分歩けば、うっそうと木が茂る林の中。小雨が降っているが、林の中なので直接、雨粒が身体をたたくことはない。むしろ湿った空気を深呼吸すると心地よいほど。
やがて文字が書かれた二等辺三角形の石が目の前に現れた。「禁山中」云々という文字が書かれている。もともと、この山の中に入ることを咎めていたのだろうか。
付近を見回しても、五百羅漢像のようなものは見当たらない。そのうち、前方の石にうっすらと羅漢の顔が浮かびがった。ここの五百羅漢は立体物ではなく、石に刻まれた像だったのだ。
比較的くっきりと姿が判別できるものもあるが、多くは下の写真のように輪郭がぼんやりとしかわからない。
これら五百羅漢は、江戸時代の、1782年(天明2年)から1788年(天明8年)にかけて発生した天明の大飢饉による餓死者を供養するために、天明3年(1783年)に大慈寺の十九代義山和尚が刻んだもの。自然石に500体の羅漢像が描かれている。
あいにくの天気ではあったが、小雨がかえって幽玄な空気を醸し出していた。
山を降りて車に戻ると、前方は道路工事中だった。釜石自動車道の延伸工事のようだ。
震災復興のためにも、高速道路の早期建設が望まれているのだろう。だが、「禁山中」の霊地前を大型トラックが行き交う姿を想像すると、忍びないものがあった。
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