岩手旅行- 「卯子酉様」遠野で一番好きになった場所
五百羅漢のある山を下りると、卯子酉様(うねどりさま)がある。徒歩なら直接下りられるのだが、車なので大回りして県道238号線・釜石街道に出る必要があった。
続石、五百羅漢、程洞稲荷神社と、観光客に一人も出くわさなかったが、卯子酉様は県道沿いにあって交通の便がよいからだろうか、地元の若者っぽい参拝客が、途切れなく訪れていた(地元の人か観光客かは、服装、持ち物、車を見るとなんとなくわかる)。
卯子酉様は、卯子酉神社、卯子酉大明神とも呼ばれ、恋愛成就のご利益で若い女性に人気。赤い布を、左手だけで木に結ぶことができれば、恋人と結ばれるといわれている。境内のイチイの木に願掛けの赤い布がかけられ、土着的でありながらも華やか、独特の雰囲気を醸し出している。
『遠野物語拾遺』には下のような記述がある。
遠野物語拾遺 35
遠野の町の愛宕山の下に、卯子酉様の祠がある。その傍らの小池には片葉の蘆を生ずる。昔はここが大きな淵であって、その淵の主に願をかけると、不思議に男女の縁が結ばれた。また信心の者には、時々淵の主が姿を見せたともいっている。
境内の空間を覆う赤い布にも強く惹かれたが、境内の地面は毛細血管のように木の根が覆い、まるで異性への想いが木の生命で吸い上げられるような不思議な力を感じた。
ここの参拝を終えていったん車で去った後、どうしてももう一度見たくなって引き返し、30分ほど過ごしてしまった。遠野、いやこの岩手旅行で一番好きになった場所だった。
【2015年 夏の岩手旅行の記録】
事前に準備した旅行グッズたち (2015/8/23)
東北本線を北へ各駅停車で一関まで (2015/8/23)
厳美渓は昭和の観光地だった (2015/8/24)
達谷窟でバイオレンスな縁起を考える (2015/8/24)
平泉、世界遺産の町にがっかり (2015/8/24)
胆沢城、蝦夷の長・アテルイ投降の地 (2015/8/25)
高野長英、後藤新平ゆかりの水沢散歩 (2015/8/25)
花巻郊外、宮沢賢治の観光テーマパークへ (2015/8/25)
大沢温泉 自炊部で一夜を過ごす (2015/8/26)
花巻市街の宮沢賢治の足跡を歩く (2015/8/26)
花巻、宮沢賢治の「イギリス海岸」を散歩 (2015/8/26)
雨の遠野、夏なのに沈鬱な町へ (2015/8/26)
遠野の「千葉家・南部曲り家」、10年間の修理前に訪問 (2015/8/27)
遠野の続石、重力がズレたような不思議な光景 (2015/8/27)
遠野の五百羅漢、幽玄なる林の中へ (2015/8/27)
遠野の程洞稲荷神社で初めてコンセイサマを見る (2015/8/27)
「卯子酉様」遠野で一番好きになった場所 (2015/8/27)
遠野物語で幾度も登場する笛吹峠へ (2015/8/27)
絵になる遠野の風景をInstagramで (2015/8/28)
遠野の最果て、早池峰神社を訪れる (2015/8/28)
「超地方」で見た郵便・物流の実際 (2015/8/28)
遠野伝承園、オシラサマ千体に目を見張る (2015/8/28)
遠野のカッパ淵、夜中と昼間に2度訪れてみた (2015/8/28)
遠野の貞任高原、残念無念の水芭蕉群落 (2015/8/28)
遠野・デンデラ野で考えた「地方」の今昔 (2015/8/28)
多賀城跡、奈良時代・大和朝廷の北方拠点へ (2015/8/29)
東北歴史博物館で、東北から日本列島を眺める (2015/8/29)
3度目の東北旅行から1年を経て (2016/10/19)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません