祖父江孝男『文化人類学入門』 – 私の旅心を刺激した7冊(その2)
旅行ライター・伊藤伸平さんもらった「7日間ブックカバーチャレンジ」のバトン、「旅心」を刺激した本を中心に選んでみます。2日目は祖父江孝男著『文化人類学入門』。
私、大阪が世界に誇る施設は、大阪城でもUSJでもなく「みんぱく(国立民族学博物館)」だと思っています。初めてみんぱくを訪れたのは中学の社会見学でした。広大なフロアに地球上のあらゆる民族衣装・生活雑貨が展示されていて「ここに世界がある!」と感動。吹田にある母校、関大一中・一高からアクセスもよく、放課後しょっちゅう出かけていました。国立民族学博物館の設立に寄与した民族学者が著者・祖父江孝男氏です。
内容は、文化人類学の世界について、興味深いトピックスでざっくり紹介。大学の一般教養の授業レベルです。以下、目次。
- 第一章:文化人類学の世界
- 第二章:人間は文化を持つ
- 第三章:文化の進化と伝搬
- 第四章:経済の技術・生活の技術
- 第五章:言語――その構造分析
- 第六章:婚姻・家族・親族
- 第七章:超自然の世界――宗教と儀礼
- 第八章:文化・心理・民族性
- 第九章:文化の変化がもたらすもの
- 第十章:残された諸問題
- 付録:文化人類学を学びたい方のために
初版が1979年。40年前なので、現在進行形の文化人類学はずいぶんと違っているはず。ただ、1977年に国立民族学博物館が開館し、これから大いに発展するトレンドの学問としての魅力を紹介したい!という著者の意気込みが随所に感じられます。
それまで受けた学校教育で「社会=地理・歴史・政治経済」だと思いこんでいた私にとっても、文化人類学はまったく新しい社会のジャンルとして新鮮に感じました。
ところで、昨日、本棚からこの本を手に取ると、表紙の裏側に1988年夏、パキスタンを旅した時のホテルのレシート、ゲストハウスのカード、古い紙幣が挟まってました。どうやら、フンザ渓谷で読み終えて、そのまま30年が経過したみたい。