秘境・秋山郷、見倉橋と中津川渓谷へ日帰り旅(新潟県津南町)

中津川。秋山郷への入り口。津南町の秋成付近

中津川の渓谷美を堪能。国道405号線のドライブ

「日本の秘境100選」の一つ、長野県と新潟県にまたがる秋山郷に車で日帰り旅行に出かけました。

川越から関越道を北上し、越後湯沢インターチェンジで下りて、十二峠を越えて津南へ。国道405号線を南下。私は途中、中子の桜に立ち寄りましたが、直行だと一度トイレ休憩を入れて3時間半程度でしょうか。

秋山郷は信濃川の支流、中津川の上流域に点在する集落の総称。新潟県南端の津南町から長野県北端の栄村へと細く長く続いています。

その名と裏腹に「秋山」という集落はありません。由来と考えられている大秋山という集落が長野県側にあったものの、1783年(天明3年)の飢饉で一村8軒が全滅したと、江戸時代の塩沢出身の文人・鈴木牧之『北越雪譜』に書かれています。

冬は陸の孤島となるため、かつては何度も飢饉や飢餓が発生し、時に村が全滅したそうです。

秋山郷へのメインルートである国道405号線は、「国道」の割に道幅が狭く、ところどころ舗装が傷んだ箇所もありました。渓谷の中腹を縫ったり、いくつものトンネルをくぐったりと、いかにも秘境への一本道という趣。

この日は、スノーシェッド(防雪用の道路の屋根)の天井から、雪解け水が道路にボタボタと落ちて、晴れているのにワイパーを動かしながらのドライブでした。

トンネルの天井から雪解け水がボタボタ

下流の津南市街地から上流の秋山郷に向けて、中津川の風景が次々に変化するのに目を奪われます。何度も車を駐めて写真撮影。中でも一番見応えがあったのが、児玉公園の「石落とし」。

溶岩が冷えて固まるときにできる規則的な割れ目「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」を眺めることができます。六角形の柱が何本も立っているように見える豪壮な自然景観で、観光名所である清津峡と同じものです。

児玉公園の石落とし

柱状節理が崩れ、ガラガラと音をたてて落ちることから「石落し」と呼ばれるようになったそうです。

児玉公園は白樺林があって、気持ちのいい散歩ができました。

児玉公園。新緑の白樺林

Googleマップで児玉公園の場所を確認

見事な吊橋「見倉橋」と結東集落の素敵な民家

今回、私が訪れたのは、南北に細長い秋山郷の真ん中にある結東(けっとう)と見倉(みくら)。この2つの集落は中津川を対岸同士にあり、見倉橋という吊橋で結ばれています。

橋は木製で長さ47メートル、高さは14メートル。実際に橋の上を歩くと想像以上に揺れました。一人ずつ渡らないと揺れがランダムになるため、結構こわい。

見倉橋の上から見た下流の眺め

スリリングな見倉橋、橋の魅力もさることながら、周囲の景観、橋へのアプローチが素敵だった。

自動車は結東集落内のじゃまくら石公園に駐車。この付近には関東地方で見られないスタイルの民家が点在していて、桜の花びらが散り、まさに「桃源郷」の趣でした。

結東集落の民家

結東集落から見倉橋へは杉木立の中の細い歩道を下りていきます。小さな石仏があったり、太い杉の木があったりと、神秘的な雰囲気です。

結東集落から見倉橋に続く坂道

やがて、見倉橋のたもとへと到着。この付近の渓谷は、秋、紅葉に包まれるはず。

結東集落側のたもと

Googleマップで見倉橋の場所を確認

なお、見倉橋は、2006年に西川美和監督の映画『ゆれる』の舞台として、オダギリジョー、香川照之、真木よう子が渡るシーンが撮影され、作品の中で重要な役割を果たしているらしい(まだ、見ていません)。

映画『ゆれる』ポスター

見倉のカタクリ群生地・風穴・大栃を目指して

中津川をはさんで結東集落の向かいにある見倉集落にも訪れました。ここにはカタクリの群生地・風穴・栃の巨木があることを、あらかじめ津南町の公式観光サイトで調べていました。

見倉集落は、結東集落よりもはるかに標高が高い場所にあります。結東を見渡せるビュースポットがいくつかあり、秋山郷では中津川の谷間に張り付くように集落が形成されていることがわかります。

結東集落を見下ろすスポット

標高が高いため、日の光が当たらない場所ではまだまだ残雪あり。結東よりも見倉の方が、春の訪れが一歩遅い印象を持ちました。

雪が溶けて中津川に流れ込む

さて、1つ目の見どころ、カタクリの群生地は見倉集落を過ぎた白樺林の中にあり、駐車場や散歩可能な木道が整備されていました。ただ、2021年1月の記録的な大雪の影響か、木が倒れていたり、木道が傷んでいる場所が多数。

カタクリの花もポツポツと咲いてはいましたが、この地では5月上旬〜中旬が見頃らしく、少々期待外れな散歩に。

カタクリ群生地

2つ目の見どころである風穴は、カタクリ群生地の駐車場から50メートルほど上がったところにあります。ここの標高は750メートル。山の斜面はまだ雪に覆われています。

「風穴、見当たらないな」と目を凝らして探したら、雪の上に小さな標柱が顔を出していました。穴に足を突っ込んだりしたら危ないので、近づくのをあきらめました。

雪に埋もれていた風穴

一番興味があったのが、3つ目の見どころ「大栃」。幹の周囲8.5メートル、高さ25メートル、推定樹齢500年の巨木です。こちらはも雪道を30分ほど登る必要があり、軽アイゼンは持ってこなかったので断念。

秋山郷は長野県栄村側にも興味があるので、夏に再びこの見倉の地に訪れたいです。

Googleマップで見倉カタクリ群生地の場所を確認