快晴の八丈富士、伊豆諸島最高峰への登山 – 八丈島旅行(1)
ANAマイレージで八丈島へ
ANAのマイレージが12,000マイル分、2年前から残っていた。年末が期限。こちらを消化しようと、シルバーウィークに八丈島へ出かけることにした。12,000マイル分だと、羽田空港から大館能代空港、能登空港、秋田空港等への往復利用が可能だが、せっかく飛行機に乗るなら車でアクセスできないところを選んだ。
「八丈島」で私が思い浮かべたのが2つ。伊豆諸島の最高峰・八丈富士と、関ヶ原の戦いで破れ、流人となった大名・宇喜多秀家。この2つを旅のテーマにした。
16時5分に羽田空港を出発する便に搭乗。窓から日暮れの三浦半島、伊豆諸島を眺めているうちに八丈富士が見えた。離陸と着陸の時間を除くと、空を飛んでいるのは実質40分程度だろうか。あっという間に八丈島空港に到着した。
快晴の八丈富士に登る
今回の旅程は4泊5日。初日は17時に八丈島に着いて、最終日は9時に出発する。実質3日間の旅。
2日目の朝、レンタカーを借りて、早速、八丈富士に向かった。レンタカーショップのある大賀郷から七合目の登山口へは20分程度のドライブで着いた。
七合目登山口には駐車スペースがあり、詰めると8台ほどの車を駐めることができる。朝9時に到着、すでに6台ほどの軽自動車が駐車していた。
登山を始める前に、車の中で念のため装備を確認した。
服装はTシャツに愛用の登山ズボン、登山用の靴下、低山向けのトレッキングシューズ、ツバの狭い帽子。リュックの中には、長袖シャツ、ウインドブレーカー、雨ガッパ、地図とコンパス、ヘッドライト。
食料はレンタカーを借りる前にスーパーマーケットで買ったおにぎり2つと惣菜。行動食にクリームブランとクッキー。飲み物はペットボトルでスポーツドリンク600ml、水400mlの2本。3時間程度の登山にしては万全の準備。
登山口から山頂方向を見上げると、快晴の空がまぶしい。出発前に日焼け止めクリームも両手、首筋に十分に塗った。
スマートフォンのアプリ「ヤマレコ」のスタートボタンを押していざ登山開始。
八丈富士は典型的な火山。七合目登山口の標高は537m、外輪山である「お鉢」の入口の標高は812m。標高差275m、距離1kmちょっと。お鉢の入口まではコンクリートの階段が延々と続く。
距離・標高差共に大したことはないが、陽の光をさえぎるものがほとんどないため、予想以上に汗をかいて消耗した。
標高が上がると、眼下に八丈島空港、三根の街並み、リゾートホテルが後方に見え始める。何度も振り向いてしまった。
汗まみれになりながらも約40分で「お鉢」に到達した。
八丈富士の火口を一周する「お鉢めぐり」
お鉢の入口の分岐点で10分ほどの休憩の後、火口を一周する「お鉢めぐり」にスタート。
前方に見える火口の外側は青い水平線と緑の稜線が交わり、幾何学的な美しさ。火口の内側に目を向けるとうっそうとした樹林が覆っている。圧倒的な景観に息を飲む。
お鉢めぐり、深く考えずに反時計回りに進み始めたが、全周の約4分の1ほど歩いて大きな間違いに気がついた。すべての道標が背を向いているのだ。下山後、観光協会のパンフレットを読むと「お鉢めぐりは時計回りに」と書かれてあった。なので、何度も振り向いて道標を確認する羽目に。
一つ道標を確認せずに火口の内側に足を踏み入れると、断崖絶壁になっている箇所があった。所によってはヒヤヒヤしながら歩いた。
コロナ禍の影響でハイカーが少ないためか、お鉢巡りの道の多くが低木で覆われて歩きにくかった。ズボンを枝に引っ掛けながら少しずつ前に進む感じ。
また、枝葉に覆われた地面は前日の雨の影響でぬかるんでいて、幾度か足を取られた。今回、低山用の登山靴でのぞみましたが、火山灰のガレ場もあるのでしっかりとした登山靴で臨んだ方がよいと思った。
お鉢めぐりを一周すると、八丈島の周囲の海が360度で眺めることができる。
中でも一番の見どころは八丈小島を見下ろせる場所。なだらかな緑のスロープの向こうに海が広がり、八丈小島がぽっかりと浮かんでいる。島登山ならではの絶景。
お鉢めぐりを全周の4分の3歩いて、ようやく八丈富士の山頂に到着した。お鉢の入口から距離1.5km、約1時間をかけてゆっくりと歩いた。山頂には小さな石標が一つ立っている。休憩中のハイカーに記念写真を撮ってもらった。
山頂からはひょうたんの形をした八丈島の南半分が一望できる。真ん前に三原山の山並み、手前には八丈島空港の全景を見渡すことができた。
火口の内側にある浅間神社に参拝
1時間以上かけて、お鉢めぐりのスタート地点に戻った。今度は火口の内側にある浅間神社を目指した。富士信仰といえば浅間神社だ。
お鉢めぐりの入口から標高差数十メートルを下ると火口の内側に入った。外輪の尾根から眺める開放的な風景とは違って、深い密林だ。空気が少し濃くなった気がした。
細い小路が密林の奥に続いている。樹木の中をくぐりながら奥へ奥へと歩みを進めた。
5分ほど歩くと緑の中に石の鳥居が見えた。高さは3mほどだろうか。小ぶりな鳥居だ。
ぬかるみに注意しながら鳥居をくぐると、その向こうにまた一つ鳥居と小さな祠があった。ここが浅間神社。サンクチュアリ=聖域という言葉がふさわしい場所だった。
鳥居の前には色とりどりの石が積まれている。石の上には黒い文字で願い事が書かれていた。いずれも十代と思わしき筆跡と願掛けだ。きっと絵馬のようなものだろう。
八丈富士登山の無事を感謝して柏手を打った後、再び来た道を戻って八丈富士を下山した。
【2021年 八丈島旅行の記録】
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