夏は読書「新潮文庫の100冊」

新潮文庫の100冊

梅雨明け。夏です。私にとって、読書は秋ではなく、夏。なぜかはよくわからないのだけど、「新潮文庫の100冊」の影響が大きいと思います。

中学一年生の夏、文庫版のパンフレットを書店でもらって、「よし、これをみんな読む」と強く決意したことを覚えています。思えば“少年カフカ”のごとく、ストイックな読書少年でした。その年、すべてを読むことはできなかったけど、中学、高校の6年間をかけて、ほとんどを読破しました。「新潮文庫の100冊」は、毎年、あまりラインナップが変わらなかったので、6年かけても読破できました。今でも、10代の夏に買った文庫本は、本棚にちょこんと座っています。

最新の「新潮文庫の100冊」は、私が“少年カフカ”だった25年前に比べると、大きくラインナップが変わっています。かつてスタンダードだった下記のような作品が消えています。

  • 眉村卓『まぼろしのペンフレンド』
  • 北杜夫『幽霊』
  • 城山三郎『零からの栄光』
  • 中島敦『李陵・山月記』
  • 高野悦子『20歳の原点』
  • シュリーマン『古代への情熱』
  • ヒルトン『チップス先生 さようなら』
  • 魯迅『阿Q正伝』
  • H.ジェームス『ねじの回転』
  • サガン『悲しみよ、こんにちは』

江國香織の作品を4冊も入れるなら『20歳の原点』は残しておいてもいいじゃないか、とか、『李陵・山月記』を消すのはけしからん、とか、混迷を深める日中関係の今こそ『阿Q正伝』だ、とか、ひとこと言いたい部分もありますが、「名作」「海外文学」は概ね納得のラインナップ。「現代文学」は‥‥やはり選択基準がよくわからない。

ともかく、夏は、読書が楽しいです。


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