感想/川西蘭『ラブ・ソングが聴こえる部屋』
ラブ・ソングが聴こえる部屋著者/川西蘭発行/集英社 1986年12月初版。四つの恋愛小説からなる短編集。1980年代半ばの恋愛風景は、今、読み返すと、なんて叙情的なのでしょうか。たとえば「マイ・シュガー・ベイブ」。メールと携帯電話の代わりの ...
感想/村上龍『限りなく透明に近いブルー』
新装版 限りなく透明に近いブルー(講談社文庫)著者/村上龍発行/講談社 言わずと知れた村上龍のデビュー作。1976年5月、「群像」6月号で群像新人賞を受賞。その後、芥川賞受賞。この作品が世に出てちょうど30年になるのですね。 高校生のとき、 ...
感想/司馬遼太郎『アームストロング砲』
新装版 アームストロング砲(講談社文庫)著者/司馬遼太郎 発行/講談社 以前、『殉死』が『坂の上の雲』の後書きのようなもの、と書きましたが、この短編集『アームストロング砲』は、『竜馬がゆく』の副読本といったところでしょうか。 『竜馬がゆく』 ...
感想/村上春樹『海辺のカフカ』が文庫に
海辺のカフカ(上・新潮文庫)/海辺のカフカ(下・新潮文庫)著者/村上 春樹 発行/新潮社 村上春樹の小説は大好きなのに、文庫でしか買わないのはファン失格でしょうか。先日、『海辺のカフカ』、文庫化されました。 ストーリーは、『世界の終わりとハ ...
感想/浅田次郎のミステリー『日輪の遺産』
ヒロシマ、ナガサキ、終戦記念日と、8月前半は第二次大戦のメモリアルデーが続きます。読書のテーマは、周囲の空気に微妙に影響されますが、そんなお盆前におすすめが、浅田次郎著『日輪の遺産』。帝国陸軍が、かつてフィリピンでマッカーサー父子より奪った ...
感想/井上尚登の小説『T.R.Y.-トライ』
「上海」と「辛亥革命」。二つの大好きなキーワードにそそられて読んでみる。内容は、辛亥革命前の上海と東京を舞台に、日本人の詐欺師、中国人の活動家、朝鮮人の殺し屋が入り乱れるアクションエンターテインメント。 1999年の横溝正史ミステリ大賞受賞 ...
感想/モーリーン・デイリ『十七歳の夏』
昔から、私はギンガムチェックに弱いです。女性が、ギンガムチェックのシャツ、ギンガムチェックのスカートを着ているだけで、何だかステキに錯覚してしまいます。ですので、初めて今はなき「角川文庫マイディアストーリー」を目にしたときは、作品はともかく ...
夏は読書「新潮文庫の100冊」
梅雨明け。夏です。私にとって、読書は秋ではなく、夏。なぜかはよくわからないのだけど、「新潮文庫の100冊」の影響が大きいと思います。 中学一年生の夏、文庫版のパンフレットを書店でもらって、「よし、これをみんな読む」と強く決意したことを覚えて ...